青春18切符の旅 in 新潟
雁木巡りの旅
山梨県立甲府工業高等学校 建築科 3年 松原稜太
雲一つ無い晴天の中、僕は家を後にした。

絶好の旅日和により、私の胸は自然と躍った。

私は青春18切符の旅は二度目で、一回目は苦い

思い出があり少し不安もあったが、やはりワクワクした。

竜王出発7時54分、まずは岡谷に向け出発。電車の中は

人がポツポツ居るだけだったのでボックス席を独り占め。


ガタンゴトン
ガタンゴトン
ガタンゴトン
ガタンゴトン

・・・・。「やべぇ、腹いてぇ〜〜。」

うすうす気づいていたのだが、私は遠出する時、必ずお腹が

痛くなる。いくら正露丸を飲もうが、ストッパを飲もうが無

駄なのである。しかし、そんな時こそ焦ってはいけない。

私はゆっくりとその場を立ち、トイレへ向かった。

使用中

冗談はよせ。こっちはもう限界なんですけども。

仕方ないので先程いた席に戻った。

ジャーー。トイレから人が出てきた。よしっ、俺の時代だ!

と思ったその時!。この世の物とは思えないスピーディーな

動きの中年オヤジが現れ、トイレに滑り込んでいった。

「うっそぉ〜ん。」心の中で嘆きつつ、立ち上がりトイレの前

に居座った。

用も足し終え、ほっと一息ついていると岡谷に着いた。

乗り換え時間は三分間、サッと乗り換え松本へ向かった。

それにしても、やはり電車の移動時間中は暇である。やはり

こんな時は音楽に限る。

しかし私はi-POTなどという大層な物は持っていない。

なぜなら私には携帯という人類が生み出した神秘があるから

である。私はイヤホンを接続して目を閉じた。

気づいたら松本に着いていた。ここから、信濃大町、南小谷

まで、爆睡していた。

南小谷では約30分程待ち時間があったので、駅の周りをフラ

フラと歩き回っていた。

JR大糸線に乗り糸魚川に向かった。

電車の中には嘘でしょって思うくらい人がいて息苦しかった。

糸魚川に到着〜。ここには雁木通りという道がある。まずは

そこに向かう事にした。

「ぐぅぅぅぅぅう!」

腹の虫が雄叫びをあげた。前言撤回、まずはご飯を食べるこ

とにした。

昼食を食べ終え店を出る。

ザーーーー。・・・まさかの雨である。

しかし、問題ない!旅は初めてではないので折りたたみ傘を

出し、歩き始めた。

雁木通りは、雁木通りというだけあり、雁木だらけだった。

雁木を見に来た私には雨は逆にありがたかった。雁木の便利さ

と実用性を身をもって実感できたからである。

しかし、不便な所にも気づいてしまった。

雁木は、各家の家主たちが実費で造ったものである。

これが雁木の魅力でもあるのだが、雁木は隣の家との統一性

が無く、足場も平らではない。私は何度か躓いてしまった。

しかし、やはり、これだけの家々が協力し合い一つの雁木通り

にしているのはすごいと思った。

糸魚川を後にし、高田へ向かった。

今話題の「天地人」私もガッツリ見ているが、ここには高田城

がある。ワクワクしながら高田駅を出ると・・・

高田駅も城ぽーーーい!

城っぽかった。でも今日はもう遅かったので旅館に向かった。

高田駅から徒歩2〜3分行った所にある鈴木旅館。

女将がとても優しくてリラックスできた。

明日は高田の町並みを見るため歩き回ると思うので、早く

床に就きたいと思います・・・・

女将と別れを告げて、私は旅館を後にした。

早速女将にもらった高田マップを片手に高田城に向かった。

高田公園の夜桜と言ったら日本三大夜桜の一つに数えられる

程である。朝でも桜はきれいだろうと思いながら高田公園に

到着・・・

まさかの2分咲もいいとこ!!蕾だらけだった。

(私が家に帰った2日後開花宣言された・・・)


絶望した、猛烈に・・・私はもちろん、雁木を学び、建築を

学ぶことを目的としてここに来たわけだが、毎日多忙で疲れ

きった体を休めに来たという目的もあった。

極め付けに祭り直前モードの高田公園、屋台だけがズラッと

並んでいた・・・・

しかし!高田の町並みはやはり良い!大きい道から脇に入った

小道などでは、昔の趣をもった家があったりしてとても癒さ

れた。長い間意味も無く高田を歩き回った後、高田を後にした

帰りの電車内、陽気な酔っ払いお爺さん集団に囲まれ、多量な

ピーナツを食わされた。そのお爺さん集団とは小淵沢まで

ずっと一緒だったのでとても仲良くなれた。

初めて旅先で出会った人と親しくなれた。

これは僕にとってとてもうれしい事だった。

そして、竜王駅に到着。家に帰り死んだように寝た。


やはり家が一番良い。しかし、たまに一人旅に出るのも

良いかもしれない。

一人旅は、自分の弱い所、案外しっかりしている所などを

自分自身に気付かせてくれる。

時に、孤独を求め、自分を見つめ直すのもいいかもしれない。

旅先で一人になり、彷徨うのは、いつも自分がいる所の温か

さ、ありがたさを再確認し、新鮮な気持ちになれる。

私はまた一人旅をするだろう。

平凡な毎日の大切さを忘れた時に・・・